大谷ノブ彦。キングコング。島田紳助。
TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」で
お笑いコンビ「ダイノジ」の大谷ノブ彦さんが舞台と映画やテレビ
などの違いについて熱弁していた。
その中の「嘘の共有」についての話が興味深くて、
あぁそうか、と腑に落ちた。
大谷さん曰く
「舞台では”嘘の共有”が早い。ライブというのはそういうこと。
落語なんてのもそう。嘘の共有の一番だから。だから落語を
映画館で上映しても絶対に面白くない。」
「キングコングが何でM-1で優勝できないかというと お笑いを辞め
て洋服屋をやりたい と言ってしまうから。そんなの嘘だから。それは
お客さんが一番醒めるんですよね。」
これはつまり、
落語家は噺しだす前にお客さんをいじるのが常だし、ひとりで何役も
演じている自分自身を滑稽な存在として笑わせたりする。そういった
手順をふむことで落語という嘘にリアリティを持って入りこませて
くれるということ。
漫才も同じ。何気ない話をしながら架空の設定に入っていくわけ
だけど、その架空の設定にどう入っていくかで勝負が決まる。
だから「M-1はそこを一番見るべきだ」、というのです。
大谷さんの話に、宇多丸さんが続ける。
「アンタッチャブルさんの漫才で、何か始めようとすると山崎さん
が柴田さんに向って 何やってんの? って言ってくれるんです。
あの構造をいっこ入れてもらうだけで見てる側は入りやすい。」
まさに。
嘘の共有。納得です。
2007年。島田紳助さんがにNSC(吉本総合芸能学院)の特別講義で
こんなことを話している。
「昨日、心斎橋で歩いていたら、1万円が落ちててん」と西川きよしや
オール巨人が言ったら客は「へぇ、落ちてたんや」と信じてくれる。
でも俺ら(紳助竜介)みたいな名もない若造が言っても
「所詮、ネタや」と思われてしまうんです。
信じていないネタふりにオチをつけてもウケるわけがない。
じゃあ、どうしたら信じてもらえるか?必死で言うんです。
こっちが「ほんまなんや!ほんまに拾ったんや!」と異常なくらい
必死で言って「いや、わかったわかった。もう信用したがな」と
相方が言う時にはお客さんもそう思っているものです。
あとは必死さにリアリティのある一言をプラスする。
「昨日歩いててん、そしたら1万円が落ちててん。あれ、オバハンが
水まきよってんやろな。1万円が道にピッターッと印刷されたみたいに
ひっついててんけど・・・」みたいにね。
※島田紳助さんの特別講演が収録されているDVD『紳竜の研究』より
紳助さんが話しているのはネタふりについてだけど、嘘の共有は
ネタふりを広くとらえた概念のことだから、要は同じこと。
前回の記事で、鳥居みゆきさんが笑えないと書いた。
それも僕と鳥居さんとで嘘の共有ができないからともいえる。
鳥居さんとはちょっと違うけど、天然芸人が実は計算でボケている
ということに感づかれたら終わりなんですよね。ほんと醒めるから。
松本人志さんが昔ガキ使のトークで、
「(夫婦漫才の宮川大助・花子の)大助さんが舞台終わりに
花子さんをメッチャ叱りつけていたの見たらもう笑えない。」
と話していたけどそれと同じです。
わかっちゃいるけど現実を見せつけられると、どうしても醒めちゃう。
嘘の共有。
いやー、お笑いも理屈で解説されるのも興味深いです。
こういう話をメディアでしてしまう大谷さんにも感服しますが。
もう少しで今年のM-1です。
楽しめそうです。

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