鳥居みゆき。松本人志。ファレリー兄弟。
鳥居みゆきさん。
世間は彼女をどう捉えているんだろう。
つまり鳥居さんは障害者ではないかと。
鳥居みゆきさんは、ジミー大西さんやウド鈴木さんのような日本を代表する
天然芸人さん達とは明らかに質が違うように感じる。
とても失礼な話をしますが、天然系のお笑い芸人さんは馬鹿の延長線上に
いると思う。だけど、鳥居さんは違う。精神障害者ですよね。
そんな話をすると、「あれはキャラクターを演じているんだ」という意見が
でると思う。
僕も当然そう思う。でも、だとしても鳥居みゆきさんは知的障害者や精神
障害者を模して笑いにしていることになる。それはそれで、かなり不謹慎だ。
つまり鳥居さんが素だろうが演技だろうが、知的障害者や精神異常者を笑う
ことになるわけです。
僕の感覚だとそれは馬鹿よりも数倍デリケートなので、だからこそ笑って
いいのか葛藤してしまう。
一方で「障害者も区別することなく笑え」という意見がある。
例えばダウンタウンの松本人志さん。
「障害者を笑いにするなんて不謹慎という方が差別やないか。障害者だと
しても笑ったったらええねん。なんやコイツ腕が切れて片腕やないかって
笑ったればええねん。」
と、障害者を笑ってはいけないという世間の風潮に率直に怒りを述べて
います。
「障害者も笑え」。
この主張は納得できるし、僕はむしろ笑いたい。
だけど笑いは理屈じゃないことが多くて、なかなか簡単に切り換える
ことができない。
ただ、そんな思いを吹き飛ばしてくれそうな人物がいる。
それがアメリカのコメディ映画監督のファレリー兄弟だ。
ファレリー兄弟はピーター・ファレリーとボビー・ファレリーの兄弟の映画
監督で(アメリカでは兄弟監督は結構多い)彼らは障害者を使って笑いを
とることに人生をかけているような監督です。
ファレリー兄弟が作る映画にはとにかく障害者がでてくる。
例えば金髪美女メリーが精子をヘアジェルと勘違いして前髪を立てるという
トンデモナイ下ネタを映して世界中で大ヒットした『メリーに首ったけ』では、
メリーの弟は知的障害者だった。
マット・デイモンが主演した『ふたりにクギづけ』は、生まれながらにして
腰の部分がくっついている双子、結合双生児が主人公だ。その主人公の双子
は性格が正反対という設定でプレイボーイの一方がナンパした女とセックスを
している最中に身体の繋がったモテないもう一人は横で本を読んでいるという、
これまたPTAに罵倒されそうなシーンが満載の映画。
『愛しのローズマリー』の主人公ローズマリーはアメリカで社会問題になって
いる病的なほど極度な肥満。そして映画の中には、火傷で顔が溶けてしまった
少年少女が登場する。
2007年に公開された『リンガー!替え玉★選手権』では、健常者の主人公が知的
障害者になりすまして、スペシャルオリンピックス(知的障害者のスポーツ大会)
に出場してスポーツ賭博で大儲けしようとする、あまりに不謹慎なストーリー。
何故ここまで障害者にこだわるのか?
それには理由がある。
ピーター・ファレリーが高校生の時、幼馴染で親友のダニーと海で遊んでいた。
不運なことにダニーは浅瀬に頭から飛び込んでしまい、心身麻痺で一生車いす
生活となる。
それから20年の時は過ぎ、ファレリー兄弟は『ジム・キャリーはMr.ダマー』と
いう作品で監督デビューをする。
プレミア試写会には親友のダニーを呼んだ。
映画の上映が終わりダニーに感想を聞くと、「君の映画には何で障害者が
出演していないの?」と質問された。
ピーター・ファレリーが「映画に出演しているのは通行人に見えても皆役者
なんだ」と返すと、ダニーは「実際はそこらじゅうに障害者はいるのにそれ
はおかしい」と言った。
予想外の意見にピーター・ファレリーは衝撃を受ける。
「あの時ピーターは、まるで親が亡くなったという知らせを聞いたような
顔をしていた。」
ダニーはその時を回想して言う。
ショックを受けたファレリー兄弟は二作目の『キングピン/ストライクへの道』
にダニーを出演させた。それも主人公の腕を斬り落とす凶悪な車いす男として。
実は、この凶悪な役はダニーの希望だった。
ダニーは「障害者が映画に出るときは、何か重いテーマを背負わせるだろう?
それは止めてくれ。そして障害者を天使のように扱うのも止めてくれよ。俺たち
だって同じ人間だ。良い奴もいれば嫌な奴もいるんだ。」と言った。
そうしてファレリー兄弟の監督人生が決まった。
ファレリー兄弟の作品は当然ながら批判が多い。
「あまりに倫理を逸脱していて笑えない」という意見もある。
一方でファレリー兄弟を支持する人もいる。
例えば『リンガー!替え玉★選手権』は、実はスペシャルオリンピックス公認
の映画だった。スペシャルオリンピックスの全面協力を得て150人もの現役選
手が出演している。
映画の中ではダウン症の選手たちが健常者の主人公をいじめるシーンもある
ので、スペシャルオリンピックス側がこれをOKしたのには驚くけど、スペシャル
オリンピックスは映画を通じて一般の人に障害者について知ってもらえる映画
だと言う。
ファレリー兄弟は今でも障害者を笑いのネタにして馬鹿コメディを撮り続けている。
次作はアメリカの往年のコメディドラマ『THE THREE STOOGES(三バカ大将)』の
リメイクだという。
多くのファンがファレリー兄弟の新作映画を楽しみにしている。
もちろんそのファンの中には障害をもった人も沢山いる。
人間は笑う力を授けられた唯一の動物らしい。
それなら笑いを奪われることは最も悲しむべきことなのかもしれない。

大した内容でもないのにトラックバックありがとう
ございました。
ファレリー兄弟にはそんな逸話があったんですね、
知りませんでした。
PTAのオバチャンがキーッて怒りそうな
ファレリー兄弟の映画私は好きです。
最後の2行には感銘しました。
投稿: 海 | 2009年10月21日 (水) 14:36
海さん
ファレリー兄弟の障害者にこだわる理由を知ると見方はだいぶかわりますよね。
投稿: お笑い原理主義 | 2009年10月23日 (金) 00:44
はじめまして。わたくしめのおバカなブログへトラバありがとうございます。
ファーレリ兄弟の作品は好きでよく観てますw
しかし、このお話は初めて聞きました。なるほど・・・ですね。
ステキな話に考えさせられることが多いですね。
「お笑い」って素晴らしいですが、最近の日本のお笑いにはいささか疑問がありますけど・・・。
投稿: ガッちゃん | 2009年10月23日 (金) 12:34
「ライラにお手あげ」のひらりん的レビューにコメントいただきありがとうございます。
あまり、誰が監督してるから・・・という事で映画は見ないんですが、ファレリー兄弟の監督作は何本も観ているようです。
ちなみにひらりんは、鳥居みゆきも好きです。
彼女はネタで「妄想癖キャラ」を演じてるんじゃないでしょうか。
最近は「おもいっきりDON」などでインタビュアーもやってて、
かなり気の利くコメントを吐いてて、
なかなか頭の回転のよさを感じてます。
投稿: ひらりん | 2009年10月24日 (土) 02:44
ガッちゃんさん
コメントありがとうございます。このファレリー兄弟の逸話は映画評論家、町山智浩さんの「アメリカは今日もステロイドを打つ」という著書で詳しく紹介されています。やはりあれだけ過激な映画を撮るのには信念があるんですね。ホント考えさせられます。
ひらりんさん
コメントありがとうございます。鳥居さん先日漫談をやってましたね。いわゆる普通の上手い漫談で、流暢な喋りと気の利いた落ちで驚きました。やはり多才な方なんですね。
投稿: お笑い原理主義 | 2009年10月24日 (土) 18:25
鳥居みゆきって芸人は知能では他人を凌駕していながら人格的に世間で言う「大人」でないという稀有な存在でしょう。
ジョナサン・スウィフトやルイス・キャロルのナンセンスに通じるものがあると言うか。
現在の日本の芸人でもかなり知能は高いと思われます。
某大物の政治に口を出したがる半端な芸人に較べても軽く蹴散らせるんじゃないですかね。
そういう分野に踏み込まないのが彼女のプロ意識なんでしょう。
過去は知りませんが、ここ数十年現れなかったタイプの「良識を解体する」芸風の持ち主では?
彼女を活かせないと日本の芸能界は先が見えませんよ。
投稿: ポン吉 | 2009年11月11日 (水) 04:58
ポン吉さん
コメントありがとうございます。
なるほど。鳥居みゆきさんってスゴイ芸人さんなんですね。
投稿: お笑い原理主義 | 2009年11月13日 (金) 11:00
hutarri no mi yukiki1019@hotmail.comdon
鳩山みゆきさんて、お笑い芸人だったのね。
私的には~
マット☆デイ悶さんも、障害者だ(った)と思う。
v的にも。
南☆朴さん等にもいじられてたし。
そんだけ~~
投稿: thatha | 2009年11月30日 (月) 22:40
障害者の障害を笑うってのは賛同できないな。
障害者を笑わせて、人生を明るいものにしてあげるっていうのがお笑いのすばらしいところでしょう。
投稿: サンコン | 2009年12月27日 (日) 16:24